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プロフィールその2(吉田崇昭)

よく聞かれることがあります。
どういうきっかけで陶芸を始めたのか?

有田の学校で学んでいる頃や、その流れで学校の職員として働いている時、信楽で造形的な仕事に夢中になっている時も、いくら考えてもしっくりくる答えはありませんでした。

大学2年の時にインダストリアルデザイン(立体)とビジュアルデザイン(平面)でコース選択をしたのですが、平面デザインを選んで、すぐに間違いに気がつきました。
友達のインダストリアルデザインの課題を手伝うことが多く、平面のポスターをデザインするよりも、ずっと面白かったのです。
立体の仕事をしたいと漠然と思いながら、なんとなく陶芸家っていう響きにあこがれて有田で陶芸をはじめました。

実に浮ついたしっくりこない理由です。
学校で知り合った仲間たちの、陶芸に関する知識や熱い思いにまったくついていけない日々が過ぎ、なんだかんだとやきものを続け、(現唐津市)浜玉町の陶芸家さんのところに弟子入りをしました。

ある時、ろくろをひきながら師匠の話を聞いていると、今まで完全に忘れていた記憶が甦りました。

まだ自分が小学生だった頃に、友達と山で赤土を掘ってきたこと。
その友達は博識で、これで縄文土器を作ろうと言い始め、赤土で器のできそこないのようなものを作りました。
さらにその友達は、うわぐすりは灰を塗ったらいいらしいというような情報も知っていて、僕は焚火の灰を水で薄めたものを塗り、庭でたき火をする際に焼いてみました。
結果は失敗で、しっかり焼けなかった為に水につけるとボロボロです。
その時はそれで終わりで、完全に忘れていました。

しかし、誰に教わるでもなく、自分たちでゼロから何かを作り出すという強烈な体験は、たぶん無意識に自分の進路を決定していたのかもしれないと思います。
山に入って石や土を探している時に、子供のころに同じことをやっていたんだなと感慨にふけったりして、今となっては、その頃から道が決まっていたのかもとすら思います。
プロフィールその2(吉田崇昭)_c0235504_1455942.jpg
去年、小学校の野焼きの授業を手伝った際に、焼いた土器。
Commented by nobiru-design at 2012-02-18 16:32
そうかも知れませんね。子どもの頃にすでにその道を歩んでいるのかも知れないですね。そう思うと、子どもには自然の中でたくさん経験させたいです。
土器とてもいいですね。こういうのも大好きです。
Commented by kikigama at 2012-02-18 19:12
コメントありがとうございます。子供のころの探究心ってすごいと思います。今に繋がる何かを探しているのかもしれないですね。土器は今度は地元の土で焼いてみたいと思っています。
by kikigama | 2012-02-17 17:43 | 吉田崇昭 記す | Comments(2)